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市民実行委員会による3年ぶりの夏季展示-「めぐる・かわる・つながる~吹田の自然環境と生き物の移り変わり~」

2022.9.3(土曜)

 

  市民実行委員会による夏季展示が3年ぶりに戻ってきました。コロナ禍で2年間、市民の手による展示はまん延防止のため中止せざるをえませんでした。 2020年の夏季展示は途中まで準備が進んでいましたが、実現しませんでした。今年の場合はそれを踏襲することなく、新規のメンバー編成でテーマも異なったものになりました。といっても、人数はやや減ったものの、 中心メンバーに大きな変更はなく、テーマも吹田の「自然と環境」に沿ったものでした。会期も例年同様、小中学校の夏休みに合わせて、7月23日(土)から8月24日(水)となりました。
 展示は「めぐる・かわる・つながる―吹田の自然環境と生き物の移り変わり」というテーマのもと、5つほどのコーナーが設けられました。入口のパネルのところではキツネとタヌキが仲良く出迎えてくれ(写真1)、最初のコーナー「いま、地球と自然環境におこっていること」にいざなってくれました。     

 写真1 きつねとたぬきがお出迎え

 そこでは地球46億年の歴史が1年のカレンダーに表示され、気温の上昇や大気圏の説明がグラフや写真等をつかったパネルでなされていました(写真2)。

 写真2展示室の様子

 6問にわたる地球温暖化クイズも壁面に吊るされていました。順路は時計の逆回りで、次のコーナー「吹田の自然環境の成り立ちと移り変わり」に続いていました。目を引いたのはゾウの化石もさりながら、シラサギやカワウなどの動物標本です(写真3)。

写真3 シラサギなどのハクセイ

 その流れで「吹田の外来種と在来種」のコーナーがもうけられ、カメや魚など水辺の生き物の標本がならび、アライグマやヌートリアなど外来種の動物が置かれていました(写真4)。

写真4 アライグマとヌートリア

 特別展示室奥の壁面には吹田の天然記念物に指定されているヒメボタルやなにわの伝統野菜にも入っている吹田クワイが陣取っていました。最後のコーナーは「人と食、自然環境の関わり」と銘打って、食卓に並ぶ食品や料理をとおして自然環境を守るとはどういうことかを考える展示になっていました(写真5)。


写真5 人と食、自然環境の関わり
   
 特別展示室の中央にはクイズや体験型の展示に加え、畳の上でSDGsすごろくを楽しめるようになっていました。特筆に値するのは「仮想グループトーク 地元の川と池が語る―現在・過去・未来」と題した意欲的な展示手法でした(写真6)。固有名をもつ10の川と池が環境についてトークセッションをおこなうという趣向です。自己紹介からはじまり過去を語り未来につなげることで「めぐる・かわる・つながる」のテーマに迫り、「K(川)I(池)10」をキテンと読ませ、「機転」を連想させたのもオシャレでした。
 
写真6 池や川の仮想グループトーク

 ロビーには自然発見シートとまちなか水族館が配置され、小学校4年生の力作48点と水槽9個ならんでいました(写真7,8)。水槽には「吹田の水辺の生き物」が生きたまま飼われていましたが、夜になって逃げ出したウナギやイモリもいれば、卵をガラス面に産み付けたタニシもあらわれました。エビに食べられた小魚にも気の毒なことをしました。
   
写真7 自然発見シート

 
写真8 まちなか水族館

 イベントも火曜日とお盆をのぞき、開館日にはほぼ毎日のようにおこなわれましたが、従来とちがってお出かけイベント―琵琶湖クルーズや化石発掘、川遊びなど―は断念しました。また、人数制限もきびしいものとならざるをえませんでした。それでも講演会4回、体験講座5回、ものづくり8回、実験2回、クイズラリー4日、魚釣り2回など、結構盛りだくさんでした。兵庫県立人と自然の博物館からやってくる移動博物館車「ゆめはく」号も3年ぶりのお目見えとなり、生き物に実際に触れることのできる唯一の貴重な機会を提供していただきました。

これからは来夏に向けて実行委員会を例年より1ヵ月繰り上げ、12月には立ち上げるべく準備を進めることになります。コロナが今後どうなるか予断を許しませんが、市民実行委員会の企画力に来年も期待しています。

(2022.8.28)


 

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出口座と阪本一房

2022.6.17(金曜)

 

  吹田市立博物館は本年11月に開館満30年を迎えます。それを記念して開館30周年と銘打った春季特別展「出口座と阪本一房―現代人形劇の継承と発展―」を開催いたしました。新型コロナウィルス感染症がまだ十分に収まりきらないなかで準備が進められ、担当者が自宅待機を余儀なくされる事態も生じましたが、おかげさまで会期を全うすることができました。ご支援・ご協力をいただいた関係者の皆さまには心から感謝申し上げます。

 写真1 展示会場入口

 思い返せば、出口座の資料が元座員の山下恵子氏から当館に寄贈されたのはコロナ禍の少し前、2019年9月でした。その経緯については本コラムの2019年11月15日付の記事をご参照ください。その結びで、「今後は、展示のみならず、演目の上演や映像の公開、さらには講演やワークショップなどを実施していきたい」と書いています。それが今回、曲がりなりにもある程度実現し、人形劇や紙芝居に関心をもつ来館者や元出口座の関係者の皆さまに喜んでいただけたことで、少し肩の荷を下ろすことができました。

 展示は大きく2部に分かれていました。前半では糸あやつり人形の世界的な広がりと日本への伝播に関する資料が並べられました。これは「人形劇の図書館」(潟見英明館長)の貴重な資料なくしては実現されないものでした。後半部は東京の人形座にはじまり、大阪人形座を経て吹田の出口座にいたる流れがおさえられ、代表的な演目が人形とともに展示されました。あわせて故・阪本一房氏が残した膨大な記録類の一部も紹介されました。(写真2)。

写真2 世界の糸あやつり人形

 
写真3 雪虫

 会期は4月23日から6月5日までの6週間でしたが、この間、講演会は6回、人形劇上演が2回、ワークショップが2回、紙芝居上演が1回おこなわれました。それ以外にも民話の朗読・解説・まち歩きのイベントや土・日・祝日のクイズラリーがあり、わたしもギャラリートークを最終日にさせていただきました。かなり盛りだくさんの関連イベントをコロナ前のように実施することができたことは、喜ばしいかぎりでした。


写真4 人形劇上演「江戸荒物」
 
写真5 ワークショップ「マリオネット操り講座~操って遊ぼう」

 そのうち、①~④の講演会を本ホームページのヴァーチャル・ミュージアムで公開していますので、随時ご覧いただければ幸いです。⑤についても近々公開予定です。
バーチャル・ミュージアム|吹田市立博物館

                     
①「現代人形劇の継承と発展」 潟見英明氏(人形劇の図書館館長)
②「吹田の人形芝居・出口座が残した小さくて大きな文化財」 菅原慶乃氏(関西大学教授)
③「昭和初めの洋風人形劇を語る~孟府と一房」 浅野詠子氏(ジャーナリスト)
④「詳説!出口座と阪本一房展」 藤井裕之(当館学芸員)
⑤「(仮題)最後の街頭紙芝居屋さん阪本一房先生」 村田利裕氏(京都教育大学教授)
最後に、久しぶりにコロナ以前の常態に近い形で特別展示とその関連イベントがおこなわれ、また次なる企画展や夏季展示の準備も着実に進められています。どうぞご期待ください。

(2022.6.17)


 

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